#tc18 HDFC Bank Limited社での活用事例 | 3年間でユーザー数を0人から26,500人に増やした軌跡について – Tableau Conference 2018 at New Orleans
目次
本エントリーでは、2018年10月24日に実施されたTableau Conference@ニューオーリンズにて実施された「HDFC Bank Limited社」のセッション内容についてご紹介します。 目次は下記の通りです。
- 1.セッション概要
- 2.HDFC Bankについて
- 3.2015-getting to know Tableau
- 4.2016年
- 5.2017年
- 6.2018年
- 7.2015-2018年の比較
- 8.まとめ
1.セッション概要
本セッションの概要は、下記の通りです。 「HDFC Bank Limited社」でTableauの利用推進を実施した、3年間の軌跡についての報告でした。
<レベル> New to Tableau
<セッション概要> Attendees will learn about HDFC Bank and its journey from zero to 26,500 users in 3 years. The speaker will discuss the initial deployment to the Wholesale bank department, how HDFC’s monthly reporting cycle was compress to a daily dashboards, and discuss challenges encountered when rolling Tableau out to HDFC’s retail branches. (HDFC銀行における、3年間でTableauユーザー数が0人から26,500に増えた過程を学ぶことができます。最初に「企業向け金融」にて利用を開始し、月次のレポーティングサイクルを日次に圧縮した方法、HDFCの「中小企業や個人を対象とする銀行業務」にTableauを展開する際に直面する課題について議論します)
2.HDFC Bankについて
まず、「HDFC Bank」についての紹介から始まりました。
「HDFC Bank」は本拠をインドに置く、銀行&金融サービスを提供しています。 5,000弱の支店、4,300万人の顧客を持つとても大規模な会社です。
事業内容も、顧客のニーズに合わせて多岐に渡っています。
2015年にTableauの存在を知り、下記の理由からTableauの利用を開始したそうです。
- 既存のExcel文化を変えるため
- 可視化だけでなく、レポーティングまでできるツールが欲しかったため
3.2015-getting to know Tableau
2015年に、一部の部門でTableauの利用を開始しました。 最初の3ヶ月はExcelと並行稼働させていたところ効果が良さそうだったので、利用を続けることとなりました。
レポーティング時には、1つのレポートで複数の事柄を把握できることを意識してダッシュボードを作成していったそうです。 実際に利用しているVizのサンプルを見せてもらえました。 思考の流れに沿ったVizを繋げることが重要となります。
2015年の最後には、下記のような構成となっています。
また、2015年の1年間で下記の事柄をノウハウとして蓄積したそうです。
Tableauを利用した「データ利活用推進プロジェクト」は複数の組織が連携する必要性がある場合が多く、ともすると「CoE」のような役割を果たすチームが必要、というのは重要な知見です。
4.2016年
2016年は「あらかじめVizのテンプレートを作成」して、それベースでユーザーと話を進めたそうです。 その結果、「本当に必要なレポート」を絞り込むことに成功したそうです。 (75レポート→3レポート)
文章にすると簡単ですが、これはかなり根気のいる作業だったのではないかと思います。 将来的にかなりのユーザー数に拡大することを考えている場合は、このような「必要なリソースを絞り込む作業」に早くから取り掛かった方がいいでしょう。
2016年の終わりには、下記のような構成となったそうです。
ユーザー数、serverのコア数共に桁違いに増えていることがわかります。 必要なリソースを削減しつつ、普及活動が順調に推進されている点が凄いですね。
5.2017年
2017年は「中小企業や個人を対象とする銀行業務」、「スケールの拡大」に挑戦したそうです。
また、「中小企業や個人を対象とする銀行業務」への進出に付随して「地方支店数」が増え、各支店の担当者と協力してデータ利活用推進を実施していく必要がありました。 具体的には、「商品ごとのレポートをダッシュボードから作成し、担当者に連絡する」、「任意の支店のニーズを満たしたVizを作成するために協力する」等の施策を実施したそうです。
一部のレポートについてサンプルを見せていただけたのですが、「必要な情報が1つのダッシュボードに揃っている」という状態を目指して作成されていました。 例えば、下記のレポートだと、一番左上に「全体のサマリー」、左下に「ちょっと集計したViz」、右側に「リソースレベル」のVizを表示しており、「ここを見たらこれが気になるだろう」という点が確認しやすいVizになっています。。
6.2018年
2018年時点でのTableau利用状況は下記のようになったそうです。
Tableauユーザー数が26,500人、serverは8コアが12台、メールのサブスクリプションが毎日8,000件以上、とかなり大規模な利用状況です。 次の課題としては下記の4点を掲げているようです。
1.mobility
アプリ等を使って外でも集計結果を確認できるようにする、という考えです。
2. Using Tableau on BIG data platform
より大規模なデータをTableauで捌くことを検討しているようです。
3.Replacing power points
パワーポイントをTableauに置き換える、というものです。 こちらは先日のKeyNoteで発表された「パワーポイントでのエクスポート」機能が役立つかもしれませんね。
4.自然言語
支店でTableauを利用する際のガイド機能、チャート作成機能を想定しているようです。 チャート作成機能については先日のKeyNoteで発表された「AskData」が使えるかもしれませんね。
7.2015-2018年の比較
2015年、2018年時点での状況の比較です。
当初はエクセルからTableauへの置き換えがほとんどであり、また「なぜTableauでやるのか」といった状況だったそうですが、2018年には「Tableau前提」で話が進むようになったとのことです。
「Tableauによるデータ利活用」を推進するにあたって、とりあえずのゴールとして上記の2018年の状態になることを目指してもいいかもしれません。
8.まとめ
エクセルからTableauに置き換える、というよくある事例です。 文字にすると簡単ですが、実現するのはとても大変で...。 このような大変な作業をするにあたっては、できるだけ最初の段階で「他の会社はどうやっているのか」という情報を仕入れることが重要なので、本エントリーももしかしたらどなたかの参考になるのではないか、と思います。
また、本セッションの動画はyoutubeにアップロードされています。 もしよかったらこちらもご覧ください。